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バリアフリー住宅で最も重視したトイレ…脊髄損傷者のための設備実例

2021-11-20住まい

人が一日にトイレに行く回数は平均4~7回と言われています。

健常者は行きたくなったら行くスタンスですし、限界でもある程度我慢できますが、我が家のような脊髄を損傷した車椅子ユーザーは尿意・便意が分からず、かつ我慢も出来ないため決まった時間に出す必要があります。

 

トイレに行っても、ズボンをおろして出して終わり、ではありません。

カテーテルの出し入れや浣腸・摘便等々…とにかく健常者に比べて排泄するための工程が多い!

時間もかかる!

失敗したらテンションがた落ち!(ついでに後処理も一苦労!)

 

バリアフリー住宅を建てるにあたって、我が家が何よりも重視したのがトイレ環境です。

このページではバリアフリートイレで

  • どんなことを気を付けたのか?
  • そして実際どんなトイレにしたのか?
  • 使ってみてどうなのか?

を解説していきます。

夫のスペック
  • 脊髄損傷者(L1)
  • 車椅子ユーザー
  • 下肢不随
  • 体幹あり(だけど健常者と同等ではない)
  • 排泄障害あり

脊髄損傷+車椅子ユーザーのトイレ設備で重視したこと・こだわりポイント

我が家の車椅子用トイレでこだわったところは以下の通り。

  • 車椅子で入れる広さ
  • 使い方多様な前方ボードを設置
  • 便座は大きめサイズ
  • スロップシンクの水栓金具をレバーの長いものにした
  • 長時間こもる場合の室温調整設備
  • トイレとお風呂と寝室を近くにした
  • リビングや寝室からの動線を直線に
  • スリッパニッチの設置
  • 開閉可能な窓をつけた

便器に横付けできる環境とか、サイドの手すりとか、そういった超基本的なことは省いてます。

 

ゆったり広々! 車椅子で入れる広さにした

ゆったり広々は若干誇張しました。ごめんなさい。我が家のトイレは2畳です。

中で転回は厳しいですが、車椅子ごとトイレに入れて、床にオムツとか色々置いても問題ないくらいの広さです。

 

手すりだけではなく使い方多様な前方ボードも設置した

移乗のための両側手すりは当たり前。

我が家は加えてトイレ前方にテーブル型手すりFUNレストテーブルαを設置しました。

手すりとして使えることはもちろん、我が家は導尿時に大活躍です。

カテーテルやゼリー等々、多くのグッズが必要な自己導尿。このテーブルがあるお陰で準備や動作が大幅に楽になりました。

跳ね上げ式なので、健常者が使うときは邪魔にならないのもGOOD。

 

腕に力を入れる必要なく体を預けられるので、高齢者のトイレ介助の場合でも介助者がぐっと楽になります。レストテーブル超おすすめ。

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便座は大きめサイズでおしりを拭きやすく

引用:Panasonic

便器を通常より大きいサイズ・エロンゲートサイズにしました。レギュラーサイズよりも便器の穴の縦幅が広くなります。

横幅や便座の大きさは変わりませんが、便器の穴が大きくなることで便器内に手を突っ込みやすく、お尻が拭きやすくなりました。

 

前述のレストテーブルに体を預けて拭く方法もありますが、下半身に力が入らない夫にとっては上半身を支えながらおしりを拭くのは難しいのです…。

資金に余裕があれば便座をZA FREEにしたかったです。前が広がってて使いやすそう。

 

車椅子でもスロップシンクを使いやすく! 水栓金具をレバーが長いものにした

カテーテル洗浄用に設置したスロップシンク。

狭いトイレ内でどこまでシンクに寄れるのか、そして水栓レバーに手が届くのか…。

そんな心配をしていた私に、工務店が長いレバーのものを探し出してくれました!

LIXILの医科用肘動混合水栓です。

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医科用肘動混合水栓のレバーは左右に動くタイプ。

よくあるレバーが上下するタイプは、レバーを上に動かすと今まであった位置より離れてしまいます。

車椅子ユーザーにとってはその少しの距離が遠いんですよね。

水栓の取付位置を下げればいいだけなのですが、長いカテーテルを洗浄するので30~40cm程度?シンクから離す必要があります。(=あまり下げられない)

左右に動くタイプは上下に動くタイプに比べて、手が届きやすく使い勝手が良いと言えます。

 

レバーの長いものは割とあるのですが、ほとんどが単水栓。水しか出ません。冬に冷たい水でカテーテル洗浄は辛いですよね。

でもこれなら混合栓なのでお湯も出る! 冬でも快適です。

デザインはちょっとアレですが、レバーの長い壁付ワンハンドル混合栓がこれしか見つけられなかったので目をつむることにします。ツーハンドル(レバー2つ)だとお湯の調整めんどくさいじゃん…。

 

長時間こもる場合の室温調整設備

導尿は10分もあれば終わりますが、排便は時間がかかります。調子が悪いときは1時間以上トイレにこもります。

換気扇があるので夏はまだマシかもしれませんが、問題は冬。

寒さに耐えながら毎日長時間トイレに籠るのは、まごうことなき苦行。

なので我が家はダイソンのホット&クールを置いてます。電源入れて1分もしないうちに温風が出てくるので、冬でも快適にトイレをすることができました。

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エアコンをつける財力はなかったですよ…。

 

トイレとお風呂と寝室を近くにした

トイレを浴室や寝室の近くにしておくことで、失敗したときでもすぐ洗い流せたり着替えたりすることが出来ます。

調べると出てくるのが、寝室の隣にトイレを設置する案。

設計段階から私は全力で回避しました。

だって音聞こえるじゃん!

 

我が家はほぼ全ての建具が上吊り引戸なので、どうしたって密閉空間になりません。扉下にすき間が出来ます。隣の部屋に音が駄々洩れです。ついでに臭いも。

なのでランドリールームを間に挟み、音や臭いの問題を少しでも緩和しました。

 

実際、何回か排泄に何回か失敗してますが、この間取りにしたお陰で被害を最小限に出来たのでおすすめ。

 

リビングや寝室からの動線を直線に

決まった時間に出す脊髄損傷者は、トイレに駆け込む必要がある場面は多くありません。

それでもなるべく楽に・直線で行けるよう、頭を捻って考えに考え抜いた間取りです。

特に2階はエレベーターからリビングへの動線も考えなければならず…。リビングの建具を3連引き違いにすることで快適な動線を確保しました。

 

2階のトイレも本来なら1階と同じ2畳だったのですが、見積で予算オーバーしたので、この広さに。

1階ほどの広さや設備はありませんが、一応車椅子で入れる広さです。(移乗・転回はできない)

とはいえ、恐らく夫が2階で排泄することはないでしょう…子どもが出来た時、トイレトレーニングの付き添いのために、という理由が一番です。

 

障害者と健常者、双方への配慮…スリッパニッチを設置した

健常者がトイレ用スリッパを使用した後、そのままにしておくと車椅子ユーザーの通行の妨げになります。

それを防ぐためにスリッパニッチを設置しました。

壁から出ていないので車椅子がつっかえることはありませんし、オープンな状態なのでスリッパの出し入れがしやすい。

障害者と健常者、双方に優しい設備です。

しかし我が家では今のところ立って用を足す人がいないので、スリッパ履き替えずに入っちゃってますが。

 

開閉可能な窓をつけて十分な換気ができるように

インスタで家づくりアカウントを見ていると、ちょこちょこ見かけるトイレに窓不要論。

私も

とみー
とみー

確かに…アパートに住んでた時、トイレに窓が無かったけど全然問題なかったなー

と同意しました。

窓を無くせば減額になるので窓なしで、と工務店にお願いしたところ、設計士さんから強めの反対意見が。

そこまで言うなら…災害で電気止まったときとか困るもんね…と、窓はそのままにしました。

でも災害のときでも何でもなく、住んでみて1週間で窓の必要性を強く実感しました。

排泄障害ある方は、開閉できる窓ゼッタイ必要!

排泄に失敗したとき、汚物が付着したオムツや衣類をビニール袋に入れてどんなにきつく縛っても、臭いが漏れてきます。

臭わない袋に入れてもいくらかマシになるだけで、結局は臭ってきます。

そして換気扇のみですと臭いが取り切れません!

ゴミ出すまでの間、トイレに行く度に悪臭に苛まれるのは嫌ですよね。

そんな悩みも窓を開ければすんなり解決。

とみー
とみー

あの時、強く止めてくれてありがとう、設計士さん…!

 

バリアフリートイレの後悔ポイント

脊髄損傷者は排泄グッズがいっぱい…収納が少なすぎた…

収納は一応多めに設置したつもりだったのですが、まあ足りない。

我が家の場合、トイレに収納したいものは以下の通り。

  • 導尿カテーテル
  • 潤滑ゼリー
  • 清浄綿
  • アルコールスプレー
  • 流せるおしりふき
  • 使い捨て手袋
  • 紙コップ
  • オムツ
  • トイレットペーパー

それぞれ、使いかけのもの+ストック1箱ずつくらい、をトイレ内に収納したかったですが無理でした。

上記に加えて掃除用品もありますからね…。うん、分かってた…。

収納スペースとしてもう半畳広く設計しないと全てを収めることは不可能だと感じました。間取りは今更どうにも出来ないですが。

無印良品の壁に付けられる家具で収納を増やそうと思ってます。

 

トイレットペーパーが取りづらい…

トイレに関しては病院の理学療法士さんから図面を貰っていた我が家。

手すりは壁から何センチとか、高さは何センチとか、細かく指定してもらっていました。

工務店にもその図面を渡し、でも手すりの取り付けだけは工期ギリギリまで粘り、本当にこの位置で良いのか、チェックにチェックを重ねて取り付けてもらいました。手すりの位置は失敗したら死活問題なので。

しかし手すりに気を取られ過ぎて、あることに気付かなかった私。

それはトイレットペーパーの位置です。

自己導尿の際は便座に移乗しないため、トイレットペーパーまで若干距離があります。

なので腕を水平に伸ばした時の高さと同じ高さにしないと取りづらいのです。

病院から貰った図面ではカウンターより上なのに対し、実際は下。

夫が退院してから初めてミスに気付きました…。

ただ、ペーパーホルダーはどこにでも後付け出来ますからね。大丈夫です。多分付けないでしょうが。

 

トイレの鍵が回しづらい…

扉に埋め込まれていて車椅子の邪魔にならないのはいいんですが、いかんせん使いづらい。

埋め込みのせいなのか、ツマミ周囲のくぼみにゆとりがないのか、鍵のツマミを回すのに苦戦します。

健常者でもすっごい使いづらいんですが…何でこれでいいと思ったんですか、パナソニックさん…。

せめて1階のトイレだけでも大型サムターンを指定すればよかったです。

 

便器のコンセント多すぎ…

これはバリアフリーに全然関係ありませんが…コンセント多すぎない!? なんで3つもあるの!?!?!?

と、思って調べたら寒冷地仕様のアラウーノVは3つになるそうです。(通常2つ)

1階は2口コンセントなのでまだマシですが、2階は1口コンセントのためタコ足配線してますからね。

コンセントの本数も調べるべきでした。

見えやすい位置なので余計気になる…。

 

車いす対応便器の存在を知らなかった…

車いす対応便器というものがありまして。

一般の便器との違いは高さ。

車椅子から移乗しやすいように、一般的な車椅子の座面の高さ・450mmに近づけた便器だそうです。(一般便器は400mm)

私がこの存在を知ったのは住設を発注した後。なので検討の余地がありませんでした…。知ってたらこれにしたかもしれません。

 

恐らく一般的な便器の高さでも問題ないとは思いますが、これからトイレを選ぶ方は一度検討してみることをお勧めします。

 

快適なバリアフリートイレを作るためのポイントまとめ

  • 車椅子で入れる広さにする
  • 使い方多様な前方ボードを設置すると便利
  • 便座は大きめサイズ+ZA FREEだと座ったままお尻が拭きやすい
  • スロップシンクを設置+水栓金具をレバーの長いものにする
  • 長時間こもる場合は室温調整設備を設置する
  • トイレとお風呂と寝室を近くにする
  • リビングや寝室からの動線を直線する
  • スリッパニッチを設置する
  • 開閉可能な窓をつける
  • 収納を多めに取る
  • トイレットペーパーを取りやすい位置に設置する
  • トイレの鍵は大型サムターンにする
  • 寒冷地ではアラウーノVにしない(完全に好みの問題ですが)
  • 車いす対応用便器にすると移乗しやすい

我が家の実例が参考になりましたら幸いです。

 

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