介助式車椅子でも一人で入浴可能! バリアフリー浴室の実例
車椅子ユーザーとなった夫のためにバリアフリー住宅を建てました。今回は浴室についてお話します。
元々シャワー派だった私たち夫婦は、お風呂にはさほどこだわりませんでした。
今までも面倒くさがってシャワーだけだったのに、下半身不随になった以上、なおさら湯舟につからないよね、と。
ですので浴槽よりも洗い場に重点を置いてます。
シャワーだけの浴室でもよかったのですが、たま~に湯船につかりたいときがある私…。そしてシャワールームは需要がないので高い! なのでオーソドックスなユニットバスにしました。
そんな我が家の、あまり参考にならないかもしれないバリアフリー浴室のご紹介です。
メーカーはハウステックです。質は悪くないし、広告費かけてないぶん安いですよ、と工務店さんから教えてもらいました。
夫のスペック
- 脊髄損傷者(L1)
- 車椅子ユーザー
- 下肢不随
- 体幹あり(だけど健常者と同等ではない)
- 排泄障害あり
バリアフリー浴室を設計する前に考えておくこと
車椅子ユーザーのお風呂の入り方は人それぞれ。
- 自走式車椅子
- 介助式車椅子
- シャワーベンチ
- イレクター(高床式など)
これらのうち、どの福祉用具を使うのか先に決めておく必要があります。使うものによって設備も変わってくるので。
今回の記事では、介助式車椅子(我が家の場合)の設備実例を紹介しています。
もともと自走式車椅子の予定だったのですが、夫の求める条件が厳しすぎまして。
自走式! 前座高50cm! 座面はU字! フットレストはスイングアウト! アームサポートは跳ね上げ式! もちろん防水仕様!
ないよ…(めちゃんこ探した)
仕方なく介助式の車椅子にしました。オーダーメイドは高いので視野に入れてません…。
ちなみに松永製作所のトイレキャリーです。トイレキャリーという名前ですが、シャワーキャリーとしても使えます。
車椅子ユーザーのための浴室こだわりポイント
広さ1.25坪(1620サイズ)でゆったり介助
介助のために洗い場が広めのサイズにしました。
おかげで車椅子が洗い場を占領することなく、介助者一人なら横に並べます。
それと私が排水口の蓋を外すタイプなのですが(ヌルヌル大嫌いだから)、常時外しておいても車椅子が脱輪したことはありません。後述する直線移動なのもありますが。
脱衣所から直線で入れるようにした&出入口ギリギリにロング手すりを設置
我が家の浴室用車椅子は介助式のため、自分でハンドルを回して漕げません。介助者が押して動かします。
でも一人でも入れるようにしたい!
そんな思いから、脱衣所⇔洗い場間の動線が直線になるようにしました。
直線にすることで、障害者一人で介助式車椅子でも、手すりを掴んで移動できます。出る時はバックで。
更に洗い場の手すりは出入口ギリギリまで寄せて設置してもらいました。なので脱衣所にいても掴めます。
自分で漕ぐより手すりを掴んで移動した方が楽だということに気付いてしまった…自走式の方にもこの位置の手すりはおすすめです
仮に間取りが固まり直線での出入りになったとしても、ハウステックならドアの位置をずらすことが可能なので、健常者の邪魔にならない壁側の位置にベンチを置くことが出来ますよ。
棚やカウンターを全撤去! 好きな場所につけられるマグネットタイプの棚にした
車椅子ユーザーにとって備え付けの棚やカウンターは正直不要です。
- カウンターがあると足がぶつかる危険が高まる
- 棚にボトルを置いても届かない可能性がある
- 車椅子ユーザーにはカウンター&棚の掃除が難しい
- 介助者の仕事(掃除)を増やしたくない
以上の理由により、我が家の浴室は棚&カウンターを全撤去で発注しました。
代わりにマグネットタイプの棚を別途購入。
最近のユニットバスは壁にマグネットがくっつけられるので、思うがままに棚を増設できます。
結果、洗い場で全く移動せず、必要なものが取れるように。
鏡前にも大きなL型手すりをつけた
洗い場のサイドに手すりをつけることにより、介助式車椅子でも一人で入れるようにしたのは前述の通り。
しかし出入口にちょっと問題がありまして。
バリアフリーと謳っているハウステックですが、1cmくらいの段差があります。標準でスロープついてます。
そのスロープで車椅子が加速し、その勢いのまま奥に激突…なんてことがあるかもしれません。
カウンターを撤去したので危険性は減りましたが、激突しなくてもつま先が壁に当たってしまう可能性が無きにしも非ず。
そこそこ前傾姿勢にならないと、つま先より手が前に出ないんですよね。
脊損の方はお分かりだと思いますが、体幹のない人には無理な体勢。若干ある夫でも、限度を超えた前傾姿勢になるとそのまま倒れます。
かといってサイドの手すりだけでブレーキかけるのは心もとない…。途中までしかないし。(1本の手すりでいこうとしたら、最長がこれだった)
でもでも! 前出25cmの大きな手すりをつけたおかげで、安全に車椅子をストップすることが出来ます!
また、実際にあったヒヤリハットなのですが、夫がシャワーキャリーでプッシュアップして除圧しているとき、手を置く位置が悪かったのかキャリーごと前方にバランスを崩したことがあります。
とっさにこの前方手すりに摑まれたため大惨事にはならずホッとしました…。心臓止まるかと思ったよ。
トイレ用手すりですがお風呂にも付けられました。(要・下地)
水栓を床から60cmの位置に移動&シャワーを手元でオンオフ出来るようにした
基本的にカウンターを撤去すると水栓の位置も下になります。水の跳ね返りを抑えるためです。
ですが車椅子ユーザーでも水栓に手が届くように、床から60cmの位置にしてもらいました。
元々の高さ維持だったか、わざわざ上げてもらったかは覚えてません…すみません。でも他のメーカーはカウンターなし・60cmの高さで難色を示していたのに対し、ハウステックはすんなりOKもらえました。ありがとうハウステック!
また、手元で止められるようにシャワーヘッドをグレードアップ。
ついでにシャワーフックもマグネットタイプのものを購入し増設。
なんということでしょう。
ほぼ全てが手元で完了するお風呂が出来上がりました!
さすがに最初と最後は水栓側で止めます。
浴室暖房でシャワーでも全身温かく!
シャワーのみ、加えて常に座った状態。
なので足先まで温まりづらいだろうと思い、オプションで浴室暖房をつけました。
引っ越して初めての冬を経験した感想は「無かったら冬は相当辛かっただろうな」です。あったか~。
まぁぶっちゃけ浴室暖房あっても足元冷えるんですけどね!
というわけで、シャワーを常に足に当てておくことにより、冷えを回避。お湯が勿体ないので足湯バケツも検討中です。
上半身は暖房があるおかげで温かいです。
足元まで見やすく! 鏡を大きめサイズにした
浴室なのにシモの話をします…先に謝っておきます、すみません。でも排泄障害ある人にはとっても大事なことなんです。
排泄障害があると自分の意志では便を止めれないため、思わぬタイミングで出てしまうことがあります。
SNSを見る限りでは、生活に慣れれば徐々に失敗が減っていくようなのですが…。
洗い場で不意に出てしまったとき。車椅子の真下なので本人には見づらく、気付きにくいんですよ。
そこで大きめの鏡を設置しました。そうすることで車椅子使用者本人でもいち早く発見することが出来るんです!(位置によっては見えませんが)
被害を最小限にするためにおすすめ。
バリアフリー浴室の設計ポイント
- まず初めにどのように入浴するのか方法を決める(車椅子 or ベンチ or リフト)
- 動線を考えた浴室の向きにする
- 広さは1.25坪あると介助しやすい
- 実際の動きに合わせて必要な位置に手すりを配置
- 車椅子で入る場合は出入口ギリギリに手すりをつけておくと何かと便利
- マグネットタイプの棚があるので、備え付けの棚はなくてもOK(ユニットバスの場合)
- シャワー派の方は浴室暖房必須
- 縦長の大きな鏡があると、車椅子の下まで見やすい
こだわってないので、後悔するほどの後悔ポイントがなく。
不便な点も今のところないです。シャワー浴に限りですが。
湯舟につかりたい日がきたら、バスボードでどうにかしようと思ってます。
他の場所はこちらからどうぞ。
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